【KYOTO100】~SATORUの100mile記録~
「今度、京都一周トレイルを走りたいので、ご一緒どうですか。」
東京から、来られる方が京都のトレイルに興味があるとの事。
その土地の雰囲気をトレイルや自然の中で感じてみたいと思うのはとても共感できる。
それも、京都の観光名所も通過できる京都一周トレイルなら尚更だろう。
「端から端まで走りたいらしい。」
おぉ、そうなのか。
京都一周トレイルを、ぐるりと一周するとなるとだいたい一周で約80Km程。
一日で走るとなるとなかなかの強者でないと達成できない距離である。
「ダブルしたいらしい。」
ダブル?ん、どういう事?一瞬耳を疑う。
往復したいと。。なんで?どうして?
頭ではイメージできず、一瞬返事をためらう。
そんな形で突然やってきた、今回の旅のはじまりはじまり。
自然豊かな山々に囲まれた京都の盆地。
その周囲をトレイルでぐるり一周繋いだのが〝京都一周トレイル〟。
ルート上には丁寧に道標が設置あり、整備もきちんとされた京都を代表する山道。
伏見桃山から伏見稲荷、比叡山、大原、鞍馬、高雄、嵐山、苔寺に至る全長約83.3Kmのコース。
トレイルを繋いで京都の文化と自然を満喫できるのも特徴ひとつである。
今回は、この京都一周トレイルを×2(ダブル)。
いわゆる往復。考えただけでも、壮大なチャレンジになるのは間違いなさそうだ。
自分自身、すべてのルートは通った事はあるが
深草トレイルを含めた一周80Kmを通しで走破した事はなかった。なので今回はとても刺激的なお声がけだった。
一周どころか、いきなり2倍の距離となる。
事の発端は、東京のトレイルランニングブランド
〝Answer4(アンサーフォー)〟の代表コバさんこと小林さん。
1周が80キロなら、往復すれば160Km (100mile)。
だったら往復したい。
誰もやってないなら、尚更やろうと。
100mileのプロダクトを手がけ、自身も100mileをメインに走るコバさん。
こう考えると、至ってシンプルな発想なのか。。。
はじめての京都でのトレイルを、京都一周トレイルダブルで100mileを走るのが夢だと。
そんなわけで、実施に至った京都一周トレイルダブル、往復チャレンジ
その名も〝KYOTO100〟。
メンバーは、コバさんの声がけに一つ返事で集まった、
Answer4のランニングクラブLDA-RCの愉快な東京組、6名。
そしてひと月前に、TDT100mileを共にした自分を含めた京都組、3名の計9名。
おいでやす?蒸し暑さ全開の京都のおもてなし
京都一周トレイル往路:伏見桃山駅〜苔寺(反時計回り)
本来は、早朝スタート予定だったが、この時期の京都での気候を考慮し
とにかく深夜の時間帯にしっかり進もうと夜を2回越えるプランに。
スタートは、土曜日の午前0時。
伏見桃山駅前には、スタートゲートのよう御香宮神社の鳥居。
京都一周トレイルのスタートの道標に触れ、いざ出発。
この日は、東京組をおもてなしするかの如く
京都特有の湿度MAXの気候。
暑熱順化の狙いで、直前の宿泊先サウナで慣らしてきた東京組みの約2名は
サラサラと汗腺はすでに崩壊のダダ漏れ滝汗状態。
スタート直前のサウナダメだと。経験をもって教えてくれる。
これもまた学び(笑)。
深夜の桃山御陵、伏見桃山城の模擬天守を抜け
伏見稲荷の千本鳥居へ。
蒸し暑さを一瞬だけでも忘れさせてくれるかのような、京都らしさを感じるルート。
序盤は、深夜の修学旅行生状態の上々の滑り出し。
気が付けば、夜も明け一日目の朝を迎える。
大文字では、お決まり〝大〟ポーズ。
今年は、3年ぶりに本来の形で送り火が灯される予定。
祇園祭に五山の送り火、京都の夏が戻ってくる。
山頂では、はるか彼方にみえる、苔寺を指差し今から向かうルートを目で追う。
ここからトレイルを繋いであそこまで。そして、またここへ戻ってくる。
この旅の長さを痛感する、見晴らしのよい広大な景色がそこには広がっていた。
とはいえ、何かの縁で集まったこのグループの強みは
笑って、バカやって、楽しむことのできる
そして、何といってもしっかり進むこともできるメンバーだ。
前半コースの、ピーク地点比叡山をまだまだ元気に通過。
雨予報も、嘘のようなサンサンと太陽が照る天気に。
予想以上に上がる気温と共に
進むペースは、徐々に落ちてくる。
そんな時、冷たい山の水がカラダを冷やし救ってくれる。
山からの用水路も、予約でいっぱいの様子。
今回なんといっても手厚いサポートをしていただいたのが
Nadiのメンバーさんを中心とする応援隊の面々。
補給のドロップバックをポイントに運び待機してくれたり、
エイドを作って、食べ物を準備してくれたり。
長丁場の中、代わる代わる手厚いサポート
そして何よりみなさんの顔を見れることが、とても力になった。
間違いなくこのサポートがなければ、完走することはできなかっただろう。
何しろ、食べるものがまた美味しいモノばかり。
エイドでは毎回、感謝、感謝の最高のオアシスだった。
みなさんの応援もあり、一周目を無事にコンプリート。
この一周でも十分満足できボリュームあるルートだった事は、
みんなの顔見れば、十分すぎるほど感じる事ができた。
往路のゴール地点苔寺では、気付けばもう日が暮れていた。
それと共に少しは気温が下がる事をみんな願っていた。
おこしやす。はじめてのトレイルから、2回目の京都トレイルへ。
復路:苔寺〜伏見稲荷大社(時計回り)
気持ち新たに、再出発。
はじめての京都トレイルから、数時間後にはすでに2回目に。
ある意味新鮮な気持ちで、挑めるのがピストンルートならではの良さなのか。
進行方向が変わることで、同じトレイルもまた違ったものに見えてくるのも面白い所。
さてさて、ここからは2回目の夜パートに突入。
嵐山を越え夜の清滝川では、満点の星空となんとホタルが飛び交っていた。
どう考えてもロマンティックなロケーション。
その状況下で、河原で川の字になって束の間の仮眠。
泥だらけ汗だくのおじさん達が並び寝てる姿は、
なんともロマンティックだった。
ここまで、30時間以上動き続けてきたメンバー達。
暑さに加え、睡魔もそれぞれに襲ってくるのは当然のことだった。
睡魔による転落などのリスクを考え数分間の仮眠時間をとった。
ただ、全員が意識を瞬間的に失う中、自分はこの状況が無性に可笑しく
ひとり目が冴え、川に足をつけていた。
そして、そこで見た清滝川を飛び交うホタルとその情景は
間違いなくこの夏、一番の景色だった。
ただ、このあと猛烈な睡魔に襲われることも知らずに(笑)。
ヒトのからだは不思議なものだ。
夜が明け、太陽が昇る頃には不思議と目が冴えてくる。
そんな経験は、今まで走った数本の100マイルでも感じた事があったが、
どうしようもない程の睡魔は、今まで感じたことはない。
自分でも、眠気には強い方だと思っていた。
ただ、どうも今回は眠い。
考えてみると、前日の金曜の朝から起きてた事を考えると、この時は日曜日。48時間は経っていた。
二晩夜を越えて走る事は、今まで未経験だった。とにかく、この時間帯はライトで灯つ仲間のお尻と足だけを必死に見てつめて只々進んだ。幻覚は見た事はないが、この状況になってはじめて幻覚を見ることもあると理解できた。
ライトを照らす影が、イラストデザインに見えると口にしていたコバさん、さすがのアーティストっぷり。今後自分も何が見えてくるのか楽しみにしたいものだ。
そうこうしている間に、復路の最大の難敵
比叡山の水井山・横高山を越えていった。
東山のトレイルは、気持ちよくとてもいいペースで駆け抜けた。
とても120Km以上を走って来たと思えない程、みんなの足は元気だった。
2回目の大文字。
とうとうここまで戻ってきた。
あとは、もうゴールまで一息。
ここにきて、夏の太陽が本気を出す。
ジリジリとカラダを照らしてくる。行きに通って来た道が長く感じる。
簡単に終わらせてくれない、これがKYOTO100のリアルだった。
フィナーレは、千本の鳥居と多くのサポートメンバーが迎えてくれた。
みんなで走りきった、最高のゴール瞬間。
カラダの水分を入れ替え続け、スタートより少しシャープになった、充実感ある良い表情だ。
走行距離150km、累積7,000m、38時間50分。
無事、京都一周トレイルダブル、コンプリート。
◼︎今回のやってわかった事◼︎
・京都一周トレイル最高。
・LDA-RCメンバー最高。
・Nadiの皆さんのエイドほんと最高。
・コバさんは、激烈晴れ男。
・爆風のスランプさんは疲労が吹っ飛ぶ。
・片道で十分お腹いっぱい。
・寸前のサウナは暑熱順化ならず滝汗祭り。
・夜スタートは寝とかなアカン。
・ヒルはヨルでもいる。
・睡魔は突然やってくる。
・星空と蛍のロマンティックな清滝ロケーション≦オジさん達の仮眠姿
・どうやってやるかより、どんなメンバーでやるか。
【往路】
伏見桃山▷伏見稲荷▷清水山▷大文字▷比叡山▷大原▷鞍馬▷向山▷氷室▷沢池▷高雄清滝▷嵐山▷苔寺
【復路】苔寺▶︎伏見桃山
何かの縁で共に走ったみんな。
そして暑い中、長時間のサポート、応援してくれたみなさんに心より感謝したい。
こんな機会でなければ、絶対しようと思わなかったダブル。
やったからこそわかるモノがそこにはあった。
SATORU